今回は、惨事ストレスマネジマント(CISM制度)についてお話していきたいと思います。
以前こんなブログを書きました。
先進国の中でも高い自殺率や急増しているうつ病による休職など‥‥暗い話題にはなりますが、現在日本では約10人に1人がメンタルダウン予備軍、もしくはメンタルダウンを患っている状況であり、こうした状況に対するリスク管理が経営者には必須といえます。
そして、特に昨今のSNSの普及やメディアの視聴率獲得のための扇動的な報道により、メンタルヘルスに関わる「言葉」だけが独り歩きしているような状況が見られます。
こちらのブログを読んでくださっているあなた様には、ぜひ産業カウンセラーとしての実績も豊富な弊社のブログで正しい知識を身に着けてもらいたいと思っています。
前置きが長くなりましたが、「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」という単語はご存じでしょうか?こちらも、PTSD=トラウマとして、最近よく聞くようになった言葉です。
災害、暴力、性被害、事故、虐待など、軽度・重度問わず、死に直面するような出来事や身体・精神的衝撃を受けた際のトラウマが引き金となり、特徴的なストレス症状群が起こる状態のことをPTSD(Posttraumatic Stress Disorder)または日本語で「心的外傷後ストレス障害」といいます。
典型的な症状は、日中夜間、仕事中など、タイミングを問わずトラウマとなった状況を思い出すことで、心理的なコントロールが効かない状態となり、動機、息切れ、発汗、震えなど他者が見ても明らかに不安定な状態に陥るものです。
その他、素人ではうつ病や統合失調症などの精神疾患と区別のつかない症状もあり、例としては、「(今まで興味のあったものに)興味を示さなくなる」「孤独感に襲われ、悲観的な考え方をしてしまう」「幸せを感じられない」「愛情を持てない」などの心理的症状が現れます。
PTSDは立派な“病気”であるにも関わらず、「イライラしやすい」「物事をすぐに投げ出す」「警戒心が強い」などその人の性格としてとらえられたり、「集中力の欠如」「睡眠障害」などの症状により社会性や向上心の欠如としてレッテルを貼られてしまったりということもあります。
このような状況では、私生活だけでなく仕事にも支障をきたすことは一目瞭然です。
それではこのようなPTSDに苦しむ従業員がいた場合、会社として、どのようなこと提案ができるでしょうか?
多くの経営者の方が、真っ先に口をついてでるのは年次有給休暇制度や会社独自の特別休暇制度を利用し、「休暇を取得させる」というものです。
この判断は一見、妥当に思われますが、PTSDなどの疾患に対する対処としては、何の解決にもならないことが多いのが実情です。その休暇が復職のための治療や心理的状況の改善につながるには、休暇を取らせた先の対応を制度化する必要があります。
そしてこのPTSDにおけるストレス負荷のコントロールを可能にする制度が、惨事ストレスマネジマント(CISM制度)というものです。この制度導入は、「静」と「動」という2種類のアプローチを基軸に、会社が能動的に包括的な支援をしていく姿勢が不可欠です。
次回は、CISM制度の具体的な内容をレクチャーしていきたいと思います。
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